私は前職時代、鍼灸とエステを融合させお客様の健康と美容をサポートする美容鍼灸の仕事をしていました。鍼灸師とエステティシャン、両方の資格を持っています。お客様のお身体を『診る』という意味では、鍼灸とエステは同じだと思っています。
退職し、転職活動をする中で、出会ったのがラスイートです。ホテル業界には以前から関心がありました。鍼灸師もお客様と接する仕事です。おもてなしや接客、サービスは、私自身、もっと磨きたい、深めたいと思っていた領域です。せっかくならしっかりしたところで働いてサービスのスキルを身につけたいと思い、「ホテル エステ」というキーワードで調べた時に、ラスイートのホームページがヒットしました。興味を引かれたのは「五感を潤す」という言葉です。鍼灸にも「陰陽五行」という言葉があり、共通点を感じました。
ただ、面接ではホテリエの接客と、鍼灸やエステの接客は全く別物だと言われました。それを聞いて、エステティシャンとしてではなく、ホテルの一員としてお客様と接することで、一流のおもてなしや接客のスキルを身に付けたいと思い入社しました。
入社後は、夜のスパにいらっしゃる方の案内からスタートしました。並行して先輩方の指導を受け、マネージャーのチェックとフィードバックをいただいて改善するということを段階的に繰り返し、エステの技術を身につけました。私の場合、2ヶ月目までには最終チェックを経て実務に入れました。エステ業界そのものは初めてでしたので、既成概念を持たずフレッシュな気持ちで入れたことは良かったと思います。
ただ、鍼灸とエステのギャップに戸惑うことはありました。鍼灸院には身体のどこかに痛みを抱えた方が来院されますが、エステには、心を豊かにしたい、体をリラックスさせたいという方がご来店されます。カウンセリングの練習で、鍼灸師時代の癖が出て、痛いところを探したり、「おつらいですよね」と共感を示すような表情で対応したりして、先輩に注意されました。以来、お客様により"ハッピー"を届けられるよう、「痛い」「苦しい」という言葉は使わず、ポジティブな言葉に変換して会話をするよう気を付けてきました。
お客様の反応も多種多様です。お客様の表情を覗い、どんなコミュニケーションを望まれているのかを推し量りながら接客していますが、施術修了後も、反応がないお客様がいらっしゃると、「私の対応が間違いだったのかな」「トリートメントの力加減が合わなかったかな」という不安を未だに感じます。
その一方ではご指名をいただけるようになり、やりがいも感じ始めています。カウンセリングの際、海外を含めエステに通い慣れているとおっしゃっていたお客様から、「これまでで一番良かった。経験は長いの?」とお褒めいただいた時は、思わず涙ぐんでしまうほど嬉しかったです。
ご来店時よりもキラキラとした表情で帰られるお客様を見ると、「癒やしのひとときを過ごせていただけたのかな」と安心しますし、リピートしていただけたら嬉しいです。お客様の中には宿泊とセットでお越しになる方もいらっしゃいます。わざわざ神戸まで身体を休めに来たくなるおもてなしができるラスイート、ラ・シェールの一員として誇りを感じます。
職場の雰囲気はとても良いと感じます。仕事中はシビアな言葉をいただくこともありますが、重たい空気をひきずって気を遣い続けながら話す必要もありませんし、休憩中はわきあいあいと雑談もしています。心地良く、無理なく、働ける職場です。
仕事上の悩みがある時にマネージャーに相談すると、他の方の具体例を出したり、様々なアイデアを出したり、私に合わせた方法を提案してくださいます。口調はやさしいですし、素敵だなと思います。ラ・シェールにリピーターが沢山いらっしゃるのも頷けます。
また、みんなが気持ちよく働けるような雰囲気作りも大切にされており、言いたいことを言いやすい環境です。以前、日焼け止めも何も塗らないというお客様が、フェイシャルトリートメントを受けに来られました。それがきっかけで、簡単につけられる日焼け止めがあればお勧めできると思いマネージャーに相談しました。すると「ちょうど良い商品があるよ。売れなくて置かなくなったけれど、あなたが売るなら置こうか」とおっしゃっていただきました。そうやって程よいプレッシャーもかけてくださいますので、マンネリにならず、向上心やモチベーションを維持しながら働けます。
いずれは鍼灸師としての知識や経験を活かせるチャンスがあれば嬉しいですね。「鍼灸=治療」のイメージは強いと思いますが、実は鍼灸はリラクゼーションにも使えます。体質を整えたり、気持ち良くしたり、身体を軽くしたり、鍼灸の技術を使ったコースがあっても良いかもしれないなと考えています。